一軒家は、建てたからといって、いつまでもそのまま使えるわけではありません。長く住み続けるのであれば、定期的なリフォームが必要です。
特に水回りは、生活の基盤となる場所ですので、不具合が生じればそれだけ日常生活に支障をきたすことになります。
そこで本記事では、水回りをリフォームする際の流れと費用相場を解説します。費用を安く抑える方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
水回りをリフォームする際の流れ
まずは、水回りをリフォームする際の、全体の流れを見ていきましょう。
施工会社に依頼する際、依頼者が流れを把握しておくことで、打ち合わせもスムーズに進められます。リフォームする際の流れは、以下の通りです。
- イメージを明確にする
- 予算を決める
- 相見積もりを取る
- 施工会社を選定する
- 契約する
- 施工する
- 引き渡し
工程ごとに、詳しく解説します。
①イメージを明確にする
まずは、何をどう直したいのかを明確にしておきましょう。
故障している部分はもちろん、普段使用していて不便に感じる点がないかも、考えることが重要です。改善したいポイントを箇条書きにし、可視化することで、自身の本当の要望が見えてきます。ここを明確にしておけば、施工会社に相談・依頼する際の話し合いがスムーズに運ぶだけでなく、イメージ像と完成後の齟齬も生じにくくなります。
例えば、以下のような内容です。
- 浴室をタイルではなく、樹脂素材やFRP床材にしたい
- 追い炊き機能をつけたい
- 対面式のキッチンにしたい
機能面だけでなく、理想の生活像からイメージを膨らましてみてもよいかもしれません。「湯船に浸かる際は、手足を伸ばしてその日の疲れを癒したい」「広々としたキッチンで悠々と料理を楽しみたい」などですね。
リフォーム後に不満が噴出することのないよう、じっくり検討することをおすすめします。
②予算を決める
続いて、予算を決めます。
まだ、リフォーム後のイメージを固めただけですから、実際にいくらかかるかは分かりません。ですが、ご自身の今後のライフプランも考えつつ、いくらまで出せるのか、ローンを組むならいくらまでかを決めておきましょう。
実際、リフォームをするとなれば、安くない費用がかかります。また、施工会社と打ち合わせをしているうちに「ここも手直ししたい」「この機能を追加したい」など、新たな要望が出てくるかもしれません。その際、ご自身の予算を決めておかなければ、際限なくリフォームする箇所が増えてしまいます。
リフォームに際して、身の丈に合わない借金をしてしまえば、たとえ家での暮らしが快適になったとしても、心に余裕が生まれない……なんてことになりかねません。
ご自身の収入や貯蓄、現在の負債額を鑑みたうえで、計画的な予算を組んでおきましょう。
③相見積もりをとる
リフォーム後のイメージと予算が固まったら、施工業者に問い合わせて見積もりを出してもらいましょう。
その際、複数社に連絡し、相見積もりをとるようにしてください。もし1社からのみの見積もりで話を進めてしまったとして、その際に提示された金額が相場を大きく上回る不当な金額だった場合、依頼者は大きな損害を被ることになります。相見積もりをとることで、各業者が提示する価格を見比べられますので、費用の相場感や適正価格が確認できるのです。
相見積もりを依頼する業者の数は、3〜4社が目安です。見積もり先が少なすぎると、比較対象が少なすぎて、適正価格を推し量れませんが、多すぎるとそれだけ手間がかかります。
「相見積もりをとるのって失礼なことなのでは?」と、不安に感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。ですが、相見積もりをとる行為自体は、失礼なことでもマナー違反でもありませんので、ご安心ください。依頼する際は、前もって「本件は相見積もりであり、他社にも見積もりを依頼している」と伝えておけば、トラブルになることはありません。
④施工会社を選定する
相見積もりが揃ったら、実際に依頼する施工業者を選定します。その際「料金が一番安いから」を理由に、選ぶのは危険です。極端に安い施工業者に依頼した結果、「手抜き工事をされた」なんてことになったら、目も当てられません。
また、施工業者ごとに得意不得意がありますので、あらかじめ、これまでの事例や実績などを聞いて判断するようにしましょう。
くわえて、以下に該当する施工業者を選んでおくと安心です。
- 建築士がいる
- 実績とノウハウを持ち合わせている
- アフターフォローがある
- リフォーム瑕疵保険に加入している
リフォーム後に不具合が生じたり、施工ミスが発覚したりすることもあり得ます。その際に、きちんと対応してくれるかどうかは、必ず確認しておきたいところです。
⑤契約する
契約書にサインをする際は、最低限、以下の点をチェックしておいてください。
- 契約内容
- 保証内容
- 工事後のメンテナンスの有無
- 費用の支払い方法
- 費用の支払い時期
契約内容が、要望通りの内容かどうかの確認は必須です。文字が多く、読みにくい書類が多いのは事実ですが、後々のトラブルを回避するためにも、しっかり目を通しておきましょう。
⑥施工する
工事中は、騒音やほこり、車の出入りなどにより、近隣住民に迷惑をかけることもあります。近隣住民と円満な関係を築くためにも、工事開始前にはあいさつを済ませておきましょう。その際、工事を行う旨とともに、スケジュールも併せて伝えておきます。
また、高額の工事の場合、着工時に代金の一部を支払うケースもあります。払い込みを忘れないよう、注意が必要です。一般的なリフォームにかかる工期を以下の表にまとめましたので、ご参照ください。
リフォーム箇所 | 工期 |
---|---|
キッチン | 6日 |
浴室 | 4~7日 |
トイレ | 半日~3日 |
洗面台 | 半日~1日 |
なお、大規模なリフォームの場合、一時的な転居や荷物の運び出しが必要なケースもあります。仮住まいやトランクルームの手配、引っ越しの準備は事前に済ませておきましょう。
⑦引き渡し
工事が完了したら、担当者とともに仕上がりを確認します。契約通りにできているか、汚れや傷がないかを入念にチェックしましょう。必要に応じて試運転をしたり、使い方の説明を受けたりしておくことも大切です。
問題がなければ、保証書や取扱説明書を受け取り、支払いを済ませれば、リフォームは完了です。
水回りをリフォームする際の費用相場
リフォームの流れが把握できたところで、各水回りのリフォームにかかる費用の相場を見てみましょう。なお、リフォームの費用は、リフォーム前の状態やお住いのエリア、施工業者ごとの料金設定によって異なります。
以下で紹介する費用相場は、目安としてご参照ください。
キッチン
まずは、キッチンの費用相場です。その費用は、およそ50万〜200万円とされています。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
システムキッチンの交換 | 50万~100万円 |
壁掛けキッチンを対面式キッチンに交換 | 55万~200万円 |
キッチンの移動と交換 | 100万~200万円 |
当然ながら、導入するキッチンのサイズやグレードによって、かかる費用は異なります。また、広範囲の配管工事や内装工事が必要になる場合もあり、その際はさらに費用がかかることは把握しておきましょう。
浴室
浴室リフォームの費用相場は、およそ50万〜150万円です。施工内容や既存の浴室の状態、新設する設備およびグレードによって異なります。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
ユニットバス全体交換 | 50万~150万円 |
在来浴室の全体交換 | 50万~200万円 |
在来浴室をユニットバスに変更 | 65万~150万円 |
浴室の交換・位置の移動 | 75万~200万円 |
壁面の張り替え | 10万円 |
床面の張り替え | 6万円 |
ここで言う“ユニットバス”とは、防水性の高い素材で浴槽・天井・床・壁をユニット化し、現地で組み立てる工法を指します。基本機能に加えて、オプション機能を選定・搭載できることから“システムバス”ともよばれているものです。ビジネスホテルなどでよく見かける、浴槽とトイレ、洗面所が一体になったものとは別ですので、ご留意ください。
トイレ
続いて、トイレリフォームの費用相場です。およそ15万〜60万円を想定しておけば、よいでしょう。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
洋式トイレの交換 | 15万~50万円 |
和式トイレから洋式トイレへの交換 | 15万~60万円 |
トイレの交換・位置の移動 | 20万~60万円 |
ウォシュレットの設置 | 1万円 |
和式トイレから洋式トイレに変更する場合、床面の段差を解消するための工事が別途、必要になるため、費用が高額になる傾向があります。
洗面台
洗面台および洗面脱衣所のリフォームは、20万〜50万円程度かかることが多いです。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
洗面台の交換 | 10万~50万円 |
洗面脱衣所全体の交換 | 20万~50万円 |
洗面台・洗面脱衣所の移動 | 20万~50万円 |
なお、洗面ボウルが2口あるタイプや、ハイグレードの洗面台を選択する場合は、その分費用は高額になり、50万円以上かかるケースもあり得ます。
水回りのリフォーム費用を安く抑える方法
リフォームをするからには、決して安くない費用がかかります。「費用は少しでも安く抑えたい」と考えるのは、何も特別なことではありません。
費用を抑えたい場合は、以下の3点を押さえておいてください。
- 水回りを一括でリフォームする
- 設備や材料のグレードを下げる
- 補助金を活用する
水回りをリフォームする際は、1か所だけでなく、できるだけまとめて行うことです。例えば「浴室だけでなく、キッチンとトイレを同じタイミングでリフォームする」といった具合です。
水回りのリフォームには、大抵、排水管の工事が伴います。別々に工事するより、まとめてリフォームしたほうが、効率がよく、最終的な費用を抑えることができるわけです。また、設備や使用する材質が高価であれば、それだけ費用総額は膨らんでいきます。
その家に住む方が求める機能を備えている、コストパフォーマンスの良い設備・材料がないか、施工会社に相談してみましょう。
リフォームの内容によっては、補助金を活用できる場合があります。
高効率給湯器の設置や、壁の断熱改修を行う場合、“省エネリフォーム”に該当します。このようなリフォームに対して、国や自治体がさまざまな補助金・助成金制度を用意しているので、一度調べてみてもよいかもしれません。
リフォームする際は、しっかりと計画を立てて、効率的に行いたいところです。
水回りをリフォームする際の注意点
ここからは、水回りをリフォームする際の注意点を紹介します。
キッチンのリフォームでは、高さに気をつけてください。使用者の身長とキッチンの高さが合っていないと、使いづらいだけでなく、腰を痛めてしまうおそれがあります。
キッチンの高さは「身長÷2+5㎝」が目安です。
浴室リフォームの際は、入浴時の快適さと清潔さに配慮して、断熱性があり、カビに強い素材を選ぶことをおすすめします。
また、リフォームの工事中は、その場所が使用できなくなります。特にトイレは、死活問題になりかねません。リフォーム会社によっては、仮設トイレを設置してくれる場合もありますが、別途、レンタル費用がかかることは覚悟しておいたほうがよさそうです。近所のコンビニのトイレを借りる方もいらっしゃるようですが、不便極まりないと言わざるをえません。
リフォーム中の生活はどうするのか、前もって取り決めておく必要があります。
まとめ
本記事では、水回りのリフォームをする際の流れと費用相場を解説しました。
水回りは、毎日欠かさず使用する、生活の基盤となる場所です。使っているうちに必ず劣化するわけですが、不具合が生じれば、日常生活に支障をきたします。快適な毎日を過ごすためにも、定期的なリフォームが欠かせないわけです。
なお、リフォームの頻度の目安は、10〜20年に1度といわれています。
いざ、リフォームをする際は、複数の業者から相見積もりを取ったうえで、補助金や助成金も活用したいところです。