
いまの収入に不満はないけど、もう少し所得を増やす方法はないのかな……
資産形成に不動産投資がよいと聞いたので、基礎的な知識を学びたい
iDeCoやNISAが世間で話題となり、多くの方が投資に関心をもつようになりました。
物価が上昇しつづける日本において、自らの人生を守るためにも投資は学んでおくべき教養の一つといえます。
さて、投資というと株式や債権などの有価証券を想像される方も多いですが、実はそれだけではありません。
土地や建物といった不動産も立派な投資対象なのです。
そこで本記事では、不動産投資の基礎知識をわかりやすくお伝えします。
本記事の内容
- 不動産投資の概要
- 不動産投資の種類
- 不動産投資で利益を得る仕組み
- 不動産投資のメリット・デメリット
投資に関心のある方はもちろん、相続で不動産を取得したものの活用方法がわからないとお悩みの方も、ぜひご参照ください。
もくじ
不動産投資とは

不動産投資とは、アパートやマンション、土地などを売却、あるいは貸し出して利益を得る投資手法のことです。
不動産投資はリスク対策がしやすく安定して収益を得やすいため、ミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれています。
株式やFXのように投資資金が一瞬でゼロになってしまうようなケースは、そう多くありません。
また、運用方法によっては手間をかけずに資産形成できるため、副業として不動産投資に取り組む方もいらっしゃいます。
不動産投資の種類

ひと口に不動産投資とはいっても、不動産種別や利益の獲得方法によって、いくつかの種類に区分されます。
種類ごとに必要経費や利益率が異なるため、それぞれの特徴を押さえたうえでご自身に合った投資手法を選びましょう。
本項では、代表的な5つの不動産投資を紹介します。
不動産投資の種類
- 区分マンション投資
- 一棟マンション投資
- 戸建て投資
- 駐車場経営
- 民泊
①区分マンション投資
マンションの一室を購入し、それを顧客に貸し出すことで家賃収入を得るのが区分マンション投資です。
ワンルームマンション投資ともよばれます。
区分マンション投資の特徴は、マンションを一棟まるごと買うわけではないため初期費用を安く抑えられる点です。
そのため、投資初心者が初めての投資として選ぶ傾向にあります。
しかし、区分マンション投資は利回りが低く空室リスクも高いため、赤字になるケースは少なくありません。
特に割高な新築マンションは非常に利回りが低くなるため、注意が必要です。
区分マンション投資は、不動産投資のなかでもハイリスクといわれています。
現時点での収益(利回り)を重視するのであれば、価格の安い中古物件を探すことをおすすめします。
②一棟マンション投資
一棟マンション投資は、新築、あるいは中古のマンションを一棟まるごと購入し、貸し出して利益を得る投資方法です。
区分マンション投資と比較すると、管理できる部屋数が増えるため空室リスクの分散が叶います。
初期費用は高くなってしまいますが、そのぶんリスクを抑えてリターンを得られる可能性も高くなります。
③戸建て投資
戸建て投資とは、所有する戸建て住宅を貸し出し、あるいは売却して収益を得る不動産投資のことです。
親から相続された家を賃貸に出すケースも、戸建て投資に含まれます。
戸建て投資の魅力は、初期費用を抑えて始められる点です。
新築住宅なら数千万円規模の費用が必要になりますが、中古物件を活用すれば数百万円程度でも始められます。
格安の中古物件を購入しリフォームすることで付加価値をつけ、利益を得る方もいらっしゃいます。
とはいえ区分マンション投資と同様、空室リスクの対策が難しいのも特徴の一つです。
一軒分の家賃収入しか得られないため、資金が貯まりにくく経営規模の拡大にも時間を要します。
戸建て投資は、少額の初期費用でリスクを抑え、コツコツ地道に取り組みたい方に向いている投資といえます。
④駐車場経営
駐車場経営は、所有している土地で駐車場を経営し利用料を得る投資です。
駐車場の運営方法には、月単位で貸し出す月極駐車場と、時間単位で貸し出すコインパーキングの2種類があります。
どちらのスタイルで運営するかは、その土地の特性や需要を見極めなければなりません。
駐車場経営の強みは、大規模な上物を建てる必要がなく少額から始められる点です。
また、車1台分のスペースさえ確保できれば、建築物を建てるのが難しい狭小地・変形地も活用できるのも魅力です。
⑤民泊
民泊は、マンションやアパート、戸建て住宅を宿泊施設として貸し出して利益を得る不動産投資です。
近年、空き室を短期で貸したい方と宿泊希望者をインターネット上でマッチングするサービスが展開され、急速に広まりました。
民泊には、住宅宿泊事業法(民泊新法)が適用されます。
そのため、要件を満たした住宅を貸すこと、年間営業日数の上限が定められていることなど、旅館やホテルとは異なるルールが設けられています。
民泊を営業する要件(一例)
- 民泊に利用される建物には、台所・浴室・便所・洗面設備のすべてが設けれていること
- 年間の営業日数は180日以内とすること
民泊は新たなビジネスであり、外国人観光客の急増に伴う宿泊施設不足や空き家問題の解決手段としても注目を集めています。
不動産投資で利益を得る仕組み

不動産投資で得る利益は、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類に区別されます。
インカムゲインは、自身が保有する不動産(マンション・アパートなど)を顧客に貸し出しすことで得る利益です。
仮にマンションの一室を月8万円で貸し出した場合、8万円のインカムゲインを得ていることになります。
入居者がいる限り安定的に利益を得られるうえ、景気変動の影響を受けにくいのが特徴です。
一方キャピタルゲインは、保有する不動産を売却して得る利益です。
2,000万円で購入したワンルームマンションを2,300万円で売却した場合、300万円のキャピタルゲインを得たことになります。
インカムゲインと異なり一括で多額の利益を得られますが、景気の影響を受けやすい傾向にあります。
景気後退で地価が下がれば、そのぶん不動産の売却価格に悪影響をおよぼすため、利益が減少するリスクが生じるわけです。
不動産投資のメリット

「儲かりそうだから」と、漠然とした理由で不動産投資を始めようとする方もいらっしゃいますが、メリットとデメリットはあらかじめ押さえておくべきでしょう。
本項では、不動産投資の3つのメリットを紹介します。
不動産投資のメリット
- 安定的に収入を得られる
- 融資を受けられる
- 節税できる
それぞれ、詳しく解説します。
メリット①安定的に収入を得られる
不動産投資の最たるメリットは、長期にわたって安定した家賃収入を得られる点です。
家賃は株価のように価格が変動しないため、入居者が決まれば月々の収入は確保されます。
家賃を滞納されるリスクもありますが、入居者に連帯保証人を立ててもらったり、家賃保証会社に加入してもらったりなど対応は可能です。
また不動産管理会社に物件の管理を委託しておけば、家賃の回収や入居者の募集、清掃や設備メンテナンスといった業務からも解放されます。
こういった仕組みを活用すれば、不動産投資は不労所得(労働を行わずに得る収益)の獲得手段になり得ます。
メリット②融資を受けられる
ローンを組みやすいことも、不動産投資の強みです。
実際、不動産投資を始めるにあたって、物件購入のためのローンを組む方は少なくありません。
マイナスのイメージが強いローン(借金)ですが、実は以下のようなメリットを得る手段にもなります。
ローンにより得られるメリット
- 少ない自己資金で不動産を購入できる
- 家賃収入でローンを返済できる
- 事業規模を拡大できる
ローンを利用すれば、多額の自己資金を用意せずとも不動産の購入が可能です。
こういったローンを組み、少ない自己資金で大きな投資を行い収益を得ることをレバレッジ効果とよびます。
有価証券の購入に対して融資がおりることは基本的にないため、レバレッジ効果を得られるのは不動産投資ならではの特徴といえます。
家賃収入だけでローンを返済できれば、返済に困窮することもないでしょう。
メリット③節税できる
不動産投資によって不動産オーナーの税負担を抑えることも可能です。
節税対象は以下の4つです。
節税対象
- 所得税
- 住民税
- 贈与税
- 相続税
所得税と住民税は、収入から経費を差し引いて算出される所得額に応じて税額が変動します。
所得額が少なければ、そのぶん税負担も軽くなる仕組みです。
不動産所得は給与所得や事業所得との損益通算が可能です。
そのため不動産所得が赤字の場合、ほかの所得(黒字)と相殺することで所得の総額が減り、所得税と住民税の負担を減らすことができます。
また財産を他者に贈与・相続する際、不動産のほうが現金や株式より2〜3割ほど評価額が下がります。
したがって、同額の現金や株式を贈与・相続するよりも、不動産として渡したほうが贈与税や相続税の負担が軽くなるわけです。
不動産投資のデメリット

メリットの多い不動産投資ですが、当然デメリットやリスクもあります。
不動産投資のデメリット
- 初期費用がかかる
- 流動性が低い
- リスクの要因が多い
デメリットをきちんと押さえておくことは、不動産投資で失敗するリスクの軽減につながります。
デメリット①初期費用がかかる
不動産投資を始めるには、以下のような費用がかかります。
不動産投資にかかる費用
- 不動産会社への仲介手数料
- 印紙代
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 融資事務手数料
- 融資保証料
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 地震保険料
- 司法書士への報酬
融資を受ける場合に必要な自己資金は、物件価格の15~30%程度といわれています。
つまり3,000万円の物件を購入するのであれば、450万〜900万円の現金を用意しなければならないということです。
不動産投資に挑戦する際は、ご自身の預貯金や収入を考慮して、無理のない計画を立てることが大切です。
デメリット②流動性が低い
実物資産である不動産は、流動性が低く売買しづらい傾向にあります。
そのため、物件によっては一向に買主が見つからず売却できないケースも珍しくありません。
物件の需要や市況によって異なるものの、不動産の売却には数か月を要するのが一般的です。
株式や外貨といった常に市場で取引されている資産と比べれば、不動産の流動性の低さはデメリットといわざるを得ないでしょう。
また不動産は、所有しているだけで固定資産税や管理費といった費用が発生します。
物件を売りたいにもかかわらず買い手が見つからなければ、その間は費用を支払い続けなければなりません。
不動産を購入するなら、将来売却することも考慮し、流動性の高い物件を選びたいところです。
不動産の流動性は都市部ほど高く、地方に行くほど低くなります。
デメリット③リスクの要因が多い
不動産投資には、さまざまなリスクがつきまといます。
リスクの要因を理解し適切に対処しなければ、経営が赤字になり、いずれ破綻しかねません。
不動産投資で生じる主なリスクは、次の6つです。
不動産投資で生じるリスク
- 空室リスク
- 滞納リスク
- 災害リスク
- 不動産価値の下落リスク
- 修繕リスク
- 金利上昇リスク
不動産投資において発生しやすいのが、空室リスクです。
空室リスクは、物件に入居者がおらず家賃収入を得られないことを指します。
空室が多くローンの返済額を割ってしまえば、いずれ資金が底をつき破綻してしまうでしょう。
そのため不動産オーナーは需要のある物件を探し出し、空室リスクの低減を図る必要があります。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれているものの、大金が動くため失敗したときのダメージは甚大です。
不動産投資を成功させるには、リスクの特性を理解し、事前に対策を打っておくことが重要です。
まとめ

今回は、不動産投資の概要とメリット・デメリットを解説しました。
本記事の内容
- 不動産投資の概要
- 不動産投資の種類
- 不動産投資で利益を得る仕組み
- 不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資は、マンションやアパート、戸建て住宅を貸し出すか売却して利益を得る投資です。
税金対策になる、融資を受けやすくレバレッジ効果を得られるなど、さまざまなメリットがあります。
株式やFXを対象とした投資に比べて景気の影響を受けにくく、ミドルリスク・ミドルリターンの投資ともいわれています。
さまざまなリスクはあるものの、うまく運用できれば長期的かつ安定した収入を得られるのが魅力です。
老後の資産形成としても、チャレンジする価値のある投資といえるのではないでしょうか。